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スノードーム

(Sun)

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 濡れた土のにおい
 冷えた指先でつついたあじさい
 零れ落ちたつゆ
 触れたあなたの肩
 あなたの香り

 傘ひとつ
 隔てた世界
 クリアな視界の中で
 ぼやけた幸福の香り

 まろい指先に
 触れたかった
 耳鳴りのような雨音に
 あなたの声がにじんでいた
 世界で一番幸せな記憶
 あなたと二人きり

 ずいぶん遠くまで来てしまった
 冷たい雨の日
 あなたの記憶を抱きしめて
 わたしは立っている


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せきえい

(Sun)

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 結晶にしてしまったのです
 ずっと忘れたくないから
 時間というものに触れられるなら
 きっと ひんやりと冷たくて
 薄い氷のようでしょうね
 ふるふると潤う表面に
 指を添わせるのです

 永遠としてしまいましょう
 あなたの言葉を においを まなざしを
 まるい爪の先を
 あなたは わたしを
 あなたの永遠にしてくれる?

 春の嵐の中
 それはうつくしいところでした
 あなたがいたから
 春の気配に紛れたあなたのにおいを
 すこし疲れたあなたの背を
 わたしは愛していたのです

 あなたの黒いベルトの時計が光っていたことばかり
 なぜか鮮烈に思い出す
 あなたの水晶は
 何を閉じ込めているかしら。

遊覧船

(Thu)

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 魂の影を追って
 わたしはここまできたの
 あなたのおもかげ
 あなたのまなざし
 星の下でもう一度出会ったのね
 わたしたち。

 時を超えて巡り合って なんて
 贅沢なロマンスね
 あの日 あなたは微笑んでいたかしら
 あの日 あなたは歌っていたかしら

 忘れられないでいる
 あなたの魂の色を においを こえを
 もう一度出会えたらわたし
 あなたの魂に触れてみたいの。
 そんな贅沢なロマンス
 完ぺきなゆめをもう一度。

 星が降りるよりも長く
 夜が明けるよりも長く
 ひととき 夢をみていたい

エナメル

(Wed)

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 今朝もまた
 夢で会いましたね
 あなたと天の川を見る夢
 こんなにも遠く あなたと離れた地に来て
 魂も離れたいま
 それでも あなたの夢をみる
 ときどき 自分の執着心が怖いのです

 星を指したあなたの人差し指
 丸いつめ
 わたしの夢なのだから好きにしたらよかったのに
 わたしは眺めることしかできなかった
 ときどき わたしは自分の心を知るのです
 あなたに こんなにも触れたかったことを。

 あおいマニキュアのつめ
 秘密の人差し指
 わたし達のたましいが
 ほんとうは 夢で密会していたりしないかしら
 目覚めたあなたの人差し指が
 秘密にあおく染まっていたり
 しないかしら。

船出

(Tue)

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 さみしいだなんて決めないでください
 荒れた海を一人でゆくことも
 灰の寒空を一人でゆくことも
 あなたへの愛が
 心に灯っているのだから

 わたしのさみしいを
 誰かに決められたくないのです
 人間はみんな孤独なんだよと言ってのけた
 誰かのように
 みんな孤独なのです されど
 それがどうしてさみしいことなのでしょうか

 あなたへの愛が
 心に灯っているのだから
 そしてわたしの愛するあなたが
 愛される喜びを知っていること
 それがなおわたしの喜びとなるのですから

渡り鳥

(Fri)

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 青いんです
 ずっと
 ただ、青い

 それでいて寒いのです
 澄んだ空は何者も隠さない
 凪いだ海は何者も温めない
 ぽつりと ただ魂だけがさまよって
 地平線を探している

 震える風音
 羽があったって
 わたし達はちっとも自由ではないのです
 一滴 落ちた涙は
 青すぎる空に消えて
 一滴の海になる

 ぽつりと ただ魂だけがさまよって
 地平線を探している
 それでいて悲しいのです
 澄んだ空はただ明るく
 凪いだ海はただ穏やか
 地平線のにおいをたどって
 風を切る

 青いんです
 ずっと
 ただ、青いんです

巻貝の夢

(Wed)

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目を閉じる
波の音が心から離れない
夜の海に沈む
安寧の水音
きらめく水面

あなたは朝を迎えただろう
深い水底は時を止め
そこには昼も 夜も 朝もなく
わたしはじっと息を潜めて
わたしの中のあなたと対話する

愛してくれなかったあなた
遠き光 遠き日々
凪いだ涙
それは絶望でもなくて
ただ、あなたの心をひとかけら
握って離したくなかった

夜の海に沈む
あなたは目覚めているのでしょう
わたしの知らぬ土地で
わたしの知らぬ夢で
誰かと海を眺めるのでしょう
あなたの心をひとかけら
落としてしまったことも知らずに。