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雨上がり・大手町の夜

(Sun)

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 暗く光る影に溜息
 永遠に続く電灯がちらついて
 わたしはどこを歩けばいい?

 暗く光る小径のさき
 嘘みたいに海が広がって
 あなたはどこに行こうとしてる?

 あなたの言葉を手に取って
 そっと口に含んでみるの
 “僕は” “そんなもんだよ” “傑出した”
 あなたの思考のかけら
 優しさを知ってしまう

 茫洋と広がる海に
 息を止めて
 潜り込むの
 言葉のあめ玉は
 甘やかな酸素
 あなたの言葉で息をしながら
 まばゆい水面を夢見てる

 優しさに満ちた
 まばゆい水面を
 沈む夢の中で
 見つめている

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étincelante

(Wed)

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 秋の風と夜のあいだ
 こんな都会のてっぺんで
 土の匂いを嗅いだ
 うっかり死んでしまいたくなるかもしれないから
 どうか気をつけて。

 優しくなかったあなた
 言葉を持たないあなた
 いつも他の誰かの中に在ったあなた
 全部連れていってあげたい
 このしっとりとした闇の中に

 瑞々しい風ときらめく足音
 じっと耳をすませて
 指先には風が遊んで
 こういう夜が一番危険なの。

 肺には冷たい空気を満たして
 どこかにあなたの匂いを探している
 夜中のお散歩は麻薬の匂い

 雨上がりの足音は
 きらきら輝いている

海の音

(Wed)

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 凪いだ海をひとり歩く
 どこまでも静かな夜
 聞こえるのは 星の落ちる音
 神さまの呼吸だけ

 わたしを隠してくれる?
 朝が来るのが怖いの
 青白い悲しみが広がってゆくでしょう
 砂浜を走って
 走って
 息を止めたって あなたに見つかってしまう

 あすの朝
 どこまでも静かな海
 聞こえるのは 小さな泡の音
 わたしの呼吸だけ
 ああ神さま
 わたしは真珠になりたいのです



さよならの日々

(Tue)

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 悲しい日にも
 息をして
 生きていかなきゃならない
 なんて残酷なの
 あなたがいない日々を
 どうして生きたらいいの

 あなたは死んだの
 この心の真ん中には
 真新しい墓標

 苦しいほどに
 愛してたの
 生きていかなきゃならないのね
 なんて悲しいの
 あなたのいない日々に
 きっとあなたでない誰かをいつか好きになる
 なんて悲しいの

祈る

(Mon)

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 夜が明けるみたいに
 静かに死んでいきたいのです
 じわりと冷える耳たぶに
 付けた黒い真珠みたいに
 流れる涙の熱を数えて眠る 

 どんな朝よりも白い
 悔恨の夢を
 あなたは知らないでしょう

 ひとつ
 ふたつ
 みっつ
 夢を溶かすには冷たすぎる

 まどろんだあの夕べのように
 重たく閉じるまぶた
 落ちた影からは真珠が生まれるでしょう
 おやすみなさいの代わりに。

 ひとつ
 ふたつ
 みっつ
 よっつ
 あすの朝には
 すっかり この唇も冷えていることでしょう

水葬

(Sun)

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 細々と立ちのぼっていく花びらを見つめるの
 きれいね
 薄い氷の下で
 わたし 天使になれるかしら

 きらきらの雪が降りそそいでいるの
 肺の中には冷たい水が満ちて
 指先まで冷たい水が満ちて
 静かね
 こんなにも穏やかでいる

 青白いくるぶしに口づけしてね
 さようならのお時間です、なんて
 こんなにも苦しくて
 愛しかった
 あなたを好きだったわたし
 冷たい背骨を見せることもなく
 眠るの
 眠るだけ

 天使の冷凍保存をするの
 寒いわ
 あなたを忘れられない代わりに
 永訣しましょう
 こんなにも穏やかでいる


星になりたかった人

(Fri)

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 真冬の濡れたアスファルトに飛び込んでごらん
 黒々とした夜空に
 僕たちは飛び立つだろう
 黒々とした翼に
 雨粒がすべる様を
 見てみたくはない?

 真冬の濡れたアスファルトは風切り羽のにおい
 すべらかな流線型を思わす
 冷たいにおい
 ふくよかな翼を思い出せたなら
 飛べるまで、そう時間はかからない

 黒い羽のみずたまり
 いつのまにか解けてしまった翼
 星に近づきすぎたカラスは
 夜にとけた

 真冬の濡れたアスファルトに飛び込んでごらん
 黒々とした風切り羽を掻き分けて
 僕の足が冬の大三角を揺らす